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「よう、ここにいたか」
部屋に入ってきた日向が近づいてきたので松山は臨戦態勢に入る。
「…なんだよ」
談話室の椅子に座っていた松山の前まで来ると日向はぐいっと顔を近づけて言った。
「愛してるぜ、松山」
その日向を松山はぎりっと睨みつけた。
「なんだてめー、ケンカ売ってんのか!」
「そうとも」
もちろん日向はそんな睨みには動じない。それにイラッとする松山。
「凝りねえやつだぜ、くらえ!」
目の前にあった日向の鼻の頭を、ぺろりとなめる。
日向は一瞬真顔になり、それからニヤリとした。
「おまえ、ケンカの買い方が間違ってるぜ」
ぐいっとつかんだ松山の襟首を持ち上げる。
「×××!」
と声にならない悲鳴が周囲のチームメイトたちから上がる。
「…ついでに舌の使い方も間違ってる」
「ババババカかてめーは!」
がっつりとキスをいただかれてしまった松山が腕を振り回して日向の体を跳ね飛ばした。
「てめーこそケンカの売り方が大マチガイだっっ!」
とまあこんなふうに二人のケンカは恒例のつかみ合いになだれ込み、早々に飽きたギャラリーはいつのまにか消
えていくのだった。
END
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